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「褒めて育てる」は間違い?『学力の経済学』に学ぶ一生使える教育リテラシー

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はじめに

あなたは、自分の子育てに自信がありますか?

私もそうですが、多くの人は自分の子育てに自信がないのではないでしょうか。

テレビや雑誌などで、「ゲームは子どもに悪影響」「褒めて育てた方が良い」「ご褒美で釣ってはいけない」といった正しそうだけど本当かよくわからない情報に、惑わされていませんか?

そんな悩みのあるあなたには、中室氏の著書『学力の経済学』が助けになってくれます。

著者の中室氏は、大規模なデータを用いて、教育を経済学的な視点で分析している、慶應義塾大学の研究者です。

中室氏は、著書の中で次のように述べています。

私は、経済学がデータを用いて明らかにしている教育や子育てにかんする発見は、教育評論家や子育て専門家の指南やノウハウよりも、よっぽど価値がある―むしろ、知っておかないともったいないことだとすら思っています。

本書では、膨大なデータから導き出された分析結果、つまり「より良い教育とは何か」のヒントが数多く紹介されています。

学力の経済学』は、これから子育てをする人、今まさに子育てをしている人にとって、教育リテラシーを身につける最高の教材です

著書で述べられている事例をもとに、「より良い教育」について考えてみませんか?

科学的根拠が明らかにする真実

子どもはご褒美で釣っても良い

子どもに勉強をして欲しい時に、ご褒美で釣って良いものか、悩みますよね。

子どもも、遠い将来のことを考えると勉強した方が良いことは分かっているものの、ついつい勉強を先送りにして勉強せずに楽をしてしまいます。

テレビを見たり、ゲームを見たり。

このような、どうしても目先の利益の方が大きく見えてしまう性質を逆に利用するのが、「ご褒美=目の前のニンジン」作戦なのです。

すぐ目の前にご褒美を用意してあげることで、勉強の先送りを防ぐことができます。

そのため、経済学できな視点から考えると、子供はご褒美で釣っても良いのです。

アウトプットよりインプットにご褒美を与える

それでは、どのような行為にご褒美を与えれば良いのでしょうか?

ご褒美の与え方には、大きく分けて二つあります。

一つは、「テストで良い点を取ったらご褒美」というアウトプット(成績)に対するご褒美。二つ目は、「本を読んだらご褒美」というインプット(勉強)に対するご褒美。

これら二つのどちらが、成績を上げるのに寄与したのでしょうか。

答えは、「本を読んだらご褒美」の、インプットに対するご褒美でした。

本を読んでも成績が良くなるとは限らないにもかかわらず、すぐに具体的な行動に移せる方が、ご褒美の効果が高いのです。

まずは、勉強のしかたを勉強するのが大切、ということですね。

むやみやたらと褒めてはいけない

よく聞く「褒めて育てる」という言葉。果たして効果はあるのでしょうか?

中室氏は、著書の中で次のように述べています。

丁寧なサーベイによって、「自尊心が高まると学力が高まる」というそれまでの定説は覆されました。バウマイスター教授らは、自尊心と学力の関係はあくまで相関関係にすぎず、因果関係は逆である、つまり学力が高いという「原因」が、自尊心が高いという「結果」をもたらしているのだと結論づけたのです。   

つまり、自尊心(自分に自信がある状態)があるから成績が良いのではなく、成績が良いから自尊心があるのです。

さらに、成績が良くない子どもを褒めると、逆に負の効果があることも示されているようです。

おわりに

ここまで、『学力の経済学』の中で紹介されている事例について紹介してきました。

より良い子育てをするためには、ただの方法論だけではなく、テレビや雑誌の情報にむやみに騙されない、親の教育リテラシーも重要です。

膨大なデータを分析すると、曖昧に信じていた教育法が効果的かそうでないかはすぐに分かるのです。

『学力の経済学』は、間違いなくあなたの教育リテラシーを高め、将来子どもが活躍してくれる確率を、少しでも高めてくれるでしょう。